barbe_generative_diary

Sound generative art を制作しています。 音や光など、私たちの周りにあるものはすべて周波数で表現できます。 目に見えない音の世界を視覚化し、生成的にミックスすることで、よりミニマルな新たなクリエイティブ表現に取り組んでいます。

ビット(情報)からアトム(物質)へ

90年代、「アトム(物質)からビット(情報)へ」というデジタル革命の流れから、時代はハードからソフトへと移行されていきました。

時代が進むにつれ、ハードにおいても、プリンタやリトグラフ、3Dプリンタなどのデジタルファブリケーションの再発見から、それらを利用した多くのアーティストが生まれ、ビットとアトムはハイブリットへ、さらには、近年、ペンプロッターなどを利用したジェネラティブアーティストの積極的なデジタル作品の物質化により「ビットからアトムへ」と時代が流れているように感じます。

この記事では、デジタルアート活動を進めていて、「ペンプロッターを使いたいけど、どんなものか分からない。」「ペンプロッターでできることは何?」など、導入を考えている人向けた内容です。

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本記事の内容
ペンプロッターとは
ペンプロッターの種類とメーカー
おすすめのペンプロッター
ペンプロッターアーティスト

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ペンプロッターとは

ペンプロッターは、平面上のX軸・Y軸の値を元に、ベクターデータを利用して線を描きます。かつての主な用途は建築や機械設計のため、CADでの製図出力のためでした。現在ではドローイングマシーンとしてデジタルアートやグラフィックの出力などにも利用されています。

プロッターは、線を描くベクターデータを利用するので、塗りつぶしやグラデーションといったことができません。(線を重ねたりなどの使い方にもよりますが。)また、プリンタと違い、一枚を描き切るのにとても時間がかかります。

ですが、そもそもプリンタとは目的も用途も違うので、それらを踏まえた上での使い分けが必要です。

プロッターの魅力は、版印刷にはない書き味、ペンやインク、紙やサイズの自由さ、さらにはドローイングマシーンとしてのカスタム、拡張など、デジタルアートを物質化することで見えてくる新たな発見などがあります。

ペンプロッターの種類とメーカー

ペンプロッターにはフラットベッド式のT型H型ドラム式などがあります。その他、オリジナルを自作する人も多くいます。現在、購入できるペンプロッターをピックアップ。

NextDraw™-BANTAM TOOLS | AxiDraw – Evil Mad Scientist

BANTAN-TOOLS-NEXTDRAW

長年多くのペンプロッターアーティストによって愛用されていたAxiDraw(Evil Mad Scientist)は、2024年にBANTAN BANTAN TOOLSに買収され、NextDraw™としてより強力なマシーンになり発売されています。(出荷は2024年5月より。)

NextDraw™は、T型フラペット式、A4・A3・A1の3つサイズが展開されています。従来のモデルではアップグレードにて利用可能だったペンリフトメカニズムが標準装備されより高速になり、圧が必要なボールペンなどの筆記具の利用も簡単になりました。

まだ実機を触ったことがないので多くは言えませんが、もし手に入れることができたらレビュー記事、または本記事を更新します。AxiDrawは完璧でした。

(現在、DiscordにあったコミュニティやアフターサポートはEvil Mad ScientistからBANTAN TOOLSに変更されています。)

NextDraw™-BANTAM TOOLS | Links:
BANTAM TOOLS – Website
Bantam Tools NextDraw™
Instagram | BANTAM TOOLS
X | BANTAM TOOLS

AxiDraw – Evil Mad Scientist | Links:
AxiDraw by Evil Mad Scientist
Shop-Evil Mad Scientist
Instagram | Evil Mad Scientist
X | Evil Mad Scientist

TerraPen

Links:
TerraPen – Website

iDraw

Links:
iDraw – Website

おすすめのペンプロッター

全ての実機を触ったわけではないですが、おすすめは、“AxiDraw” です。(今後はNextDraw™になるのかも知れません。)AxiDrawは、ロボットとしての完成度はもちろん、機器の不調により困った時のアフターフォローがとてもしっかりしています。※ 以前、不具合があった時にDiscordのコミュニティサポートにとてもお世話になりました。とても親切です。

これら機器は、基本的には自身で修理することができます。サーボモーターなどは消耗品にて、長年使っていると交換時期が来ます。それ以外にも必要なパーツも個別で販売されています。

その他、ペン角度を変えるためのアクセサーパーツやモーターのアップグレードパーツなどもあり、自分だけのプロッターにカスタムすることも可能です。

以前、下記記事にてセットアップについてまとめています。

AxiDraw SE/A3 – Pen Plotter / Review #1 – セットアップ

ペンプロッターアーティスト

ニッチながらもペンプロッターを利用したアーティストは世界中に多くいます。彼らの感性とクオリティはとても高く、Web上でも素晴らしい作品に出会う事ができます。ここで紹介するアーティストは、日々実験を繰り返しながら、表現豊かで美しい作品を制作している、私の大好きなアーティストたちです。

Andrew Strauss / アンドリュー・シュトラウス

Andrewは、オーストラリアを拠点とするペンプロット、ファインアートプリントのマエストロです。受賞歴のあるアートディレクター、グラフィックデザイナーでもあり、20年以上のキャリアがあります。彼の作品は、職業柄、クオリティの高いレイアウトセンスと、アートコンセプト、引き込まれるような連続する形と線で構成され、多くのファンを魅了しています。彼の作品はWebサイトやNFTにて購入することができます。非常に人気のため常に売り切れています。

www: https://studiostrauss.shop/
instagram: https://www.instagram.com/ad_strauss/

Arnaud Pfeffer / アルノー・プフェッファー

Arnaudはフランス、パリに拠点を置く工業デザイナー、デジタルアーティストです。彼の作品は、アート作品の結果だけでなく、製作プロセスもユニークで美しく、完璧なまでに機械と素材との対峙を表現しています。工業デザイナーの経験により、既存のプロッターをマシンをオリジナルで拡張し、他に類を見ない素晴らしい作品を作り続けています。

www: https://arnaudpfeffer.com/
instagram: https://www.instagram.com/arnaudpfef

Kenny Vaden / ケニー・ヴァーデン

Kennyは、アメリカのサウス・カロライナ州を拠点に活動しているジェネラティブアーティスト。彼の作品は、現代の美しさと混乱、恐怖を捉え、パターンによる有機的なグラフィック特徴です。彼は医科大の研究者として、R言語を用いた生物統計や科学プロットのためのグラフィックコードを書いています。常に実験と表現を行き来しながら、多彩な表現に取り組んでいます。

www: https://www.vadenart.com/
instagram: https://www.instagram.com/kenny.vaden/

Chris Bly / クリス・ブライ

Chrisの作品はモノクロームの非常にシンプルです。黒の紙に浮かぶ白のラインは一本一本がとても洗練され美しく、規則的な揺らぎとシルエットは見る人を魅了します。正確な筆圧でラインを引くプロッターの特性を活かした、作品づくりに刺激をもらいます。

www: https://chrisbly.com/
instagram: https://www.instagram.com/machine.arm/

Simon Kirby / サイモン・カービィ

Simonはスコットランドのエディンバラ大学の言語進化学の教授。彼の作品は、彼の研究心と芸術が融合され、とても魅力的で刺激的です。私が特に大好きな作品「Usnea」は地衣類をモチーフに描かれ、制作でひいた線の数はおよそ100万本以上。絵でも写真でもない言語化できない全く違う魅力ある作品になっています。

www: https://www.simonkirby.net/
instagram: https://www.instagram.com/simonkirby/
shop: https://www.simonkirby.net/shop ショップの作品の意図を読むだけでもとても面白いのでぜひ。
さらに詳しい彼の取り組みについて、下記よりチェックしてください。
https://www.alaluz.org/blog/simon-kirby

and me:) barbe_generative_diary peco

barbe_generative_diaryは、日常に溢れている音をコードアニメーション・プロットにて視覚化する実験を行なっています。

instagram: https://www.instagram.com/barbe_generative_diary/
bandcamp(NEW): https://barbegenerativediary.bandcamp.com/

Recommended Book

“Tracing the Line: the art of drawing machines and pen plotters”.

Vetro Editions と Generative Hut が提携し、100 人の現代の最先端アーティストをフィーチャーした新しい AR 出版物が制作されました。現在プレオーダー中。ペンプロッターやドローイングマシーンを実際に使用する 100 人の現代アーティストの作品が掲載されています。

プレオーダーはこちらから。(割引対象期間中にてお早めに。)
VETRO EDITIONS Website – Tracing the Line –

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Amazonのbarbe_generative_diary ページにて、使用している道具や機材、本棚にあるアートに関連する本などをまとめています。

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