Date:2023-09-22
ペンプロッターをはじめよう。Pen plotter for code graphics.
ペンプロッターやその他のドローイング マシンの利用は、現代のジェネラティブアート、デジタルアートシーンの重要なものとなっています。今後、ペンプロッターの導入を検討している人へ、ペンプロッターのススメです。

ビット(情報)からアトム(物質)へ
90年代、「アトム(物質)からビット(情報)へ」というデジタル革命の流れから、時代はハードからソフトへと移行されていきました。
時代が進むにつれ、ハードにおいても、プリンタやリトグラフ、3Dプリンタなどのデジタルファブリケーションの再発見から、それらを利用した多くのアーティストが生まれ、ビットとアトムはハイブリットへ、さらには、近年、ペンプロッターなどを利用したジェネラティブアーティストの積極的なデジタル作品の物質化により「ビットからアトムへ」と時代が流れているように感じます。

この記事では、デジタルアート活動を進めていて、「ペンプロッターを使いたいけど、どんなものか分からない。」「ペンプロッターでできることは何?」など、導入を考えている人向けた内容です。
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本記事の内容
・ペンプロッターとは
・ペンプロッターの種類とメーカー
・おすすめのペンプロッター
・ペンプロッターアーティスト
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ペンプロッターとは
ペンプロッターは、平面上のX軸・Y軸の値を元に、ベクターデータを利用して線を描きます。かつての主な用途は建築や機械設計のため、CADでの製図出力のためでした。現在ではドローイングマシーンとしてデジタルアートやグラフィックの出力などにも利用されています。
プロッターは、線を描くベクターデータを利用するので、塗りつぶしやグラデーションといったことができません。(線を重ねたりなどの使い方にもよりますが。)また、プリンタと違い、一枚を描き切るのにとても時間がかかります。
ですが、そもそもプリンタとは目的も用途も違うので、それらを踏まえた上での使い分けが必要です。
プロッターの魅力は、版印刷にはない書き味、ペンやインク、紙やサイズの自由さ、さらにはドローイングマシーンとしてのカスタム、拡張など、デジタルアートを物質化することで見えてくる新たな発見などがあります。

ペンプロッターの種類とメーカー
ペンプロッターにはフラットベッド式のT型、H型、ドラム式などがあります。その他、オリジナルを自作する人も多くいます。
現在、ドローイングマシーン利用できるペンプロッターのピックアップです。
AxiDraw
・AxiDraw by Evil Mad Scientist
・Shop-Evil Mad Scientist

terraPen

iDraw

おすすめのペンプロッター
全ての実機を触ったわけではないですが、今のところおすすめは、“AxiDraw” です。ロボットとしての完成度はもちろん、機器の不調により困った時のアフターフォローがとてもしっかりしています。※ 以前、不具合があった時、AxiDrawのDiscordにて、とても親切に解決してくれました。
これら機器は、基本的には自身で修理することができます。サーボモーターなどは消耗品にて、長年使っていると交換時期が来ます。それ以外にも必要なパーツもWebサイトにて個別で販売されています。
その他、ペン角度を変えるためのアクセサーパーツやモーターのアップグレードパーツなどもあり、自分だけのプロッターにカスタムすることも可能です。
以前、下記記事にてセットアップについてまとめています。
AxiDraw SE/A3 – Pen Plotter / Review #1 – セットアップ

ペンプロッターアーティスト
ニッチながらもペンプロッターを利用したアーティストは世界中に多くいます。彼らの感性とクオリティはとても高く、Web上でも素晴らしい作品に出会う事ができます。ここで紹介するアーティストは、日々実験を繰り返しながら、表現豊かで美しい作品を制作している、私の大好きなアーティストたちです。
Andrew Strauss / アンドリュー・シュトラウス
Andrewは、オーストラリアを拠点とするペンプロット、ファインアートプリントのマエストロです。受賞歴のあるアートディレクター、グラフィックデザイナーでもあり、20年以上のキャリアがあります。彼の作品は、職業柄、クオリティの高いレイアウトセンスと、アートコンセプト、引き込まれるような連続する形と線で構成され、多くのファンを魅了しています。彼の作品はWebサイトやNFTにて購入することができます。非常に人気のため常に売り切れています。
www: https://www.studiostraussstore.com.au/
instagram: https://www.instagram.com/ad_strauss/


Arnaud Pfeffer / アルノー・プフェッファー
Arnaudはフランス、パリに拠点を置く工業デザイナー、デジタルアーティストです。彼の作品は、アート作品の結果だけでなく、製作プロセスもユニークで美しく、完璧なまでに機械と素材との対峙を表現しています。工業デザイナーの経験により、既存のプロッターをマシンをオリジナルで拡張し、他に類を見ない素晴らしい作品を作り続けています。
www: https://arnaudpfeffer.com/
instagram: https://www.instagram.com/arnaudpfef


Kenny Vaden / ケニー・ヴァーデン
Kennyは、アメリカのサウス・カロライナ州を拠点に活動しているジェネラティブアーティスト。彼の作品は、現代の美しさと混乱、恐怖を捉え、パターンによる有機的なグラフィック特徴です。彼は医科大の研究者として、R言語を用いた生物統計や科学プロットのためのグラフィックコードを書いています。常に実験と表現を行き来しながら、多彩な表現に取り組んでいます。
www: https://www.vadenart.com/
instagram: https://www.instagram.com/kenny.vaden/


Chris Bly / クリス・ブライ
Chrisの作品はモノクロームの非常にシンプルです。黒の紙に浮かぶ白のラインは一本一本がとても洗練され美しく、規則的な揺らぎとシルエットは見る人を魅了します。正確な筆圧でラインを引くプロッターの特性を活かした、作品づくりにいつも刺激をもらっています。
www: https://chrisbly.com/
instagram: https://www.instagram.com/machine.arm/


Recommended Book
“Tracing the Line: the art of drawing machines and pen plotters”.
Vetro Editions と Generative Hut が提携し、100 人の現代の最先端アーティストをフィーチャーした新しい AR 出版物が制作されました。現在プレオーダー中。ペンプロッターやドローイングマシーンを実際に使用する 100 人の現代アーティストの作品が掲載されています。
プレオーダーはこちらから。(割引対象期間中にてお早めに。)
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