Date:2023-10-17
サウンドエフェクトライブラリの管理方法|The Universal Category System
フィールドレコーディングで音を収集する人から、楽曲制作・映像制作で音を使用する人まで、音のデータ管理はとても重要です。本記事は、たくさんの音データを整理整頓するための便利なツール The Universal Category System(UCS)の解説です。
現在、世の中にあふれる音響データの分類を標準化しようとする試みがなされています。本記事では大手サウンドエフェクターベンダーでも起用されている管理ツールThe Universal Category System(UCS)についてと使い方を紹介します。
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INDEX
The Universal Category System (UCS)について。
・The Universal Category System (UCS)をダウンロード
The Universal Category System (UCS)の使い方。
・カテゴリシステムについて|THE CATEGORY LIST
・ファイル名の付け方|THE FILENAME STRUCTURE
・カテゴリリスト検索、ファイル制作に便利なツール|AVAILABLE TOOLS
・フォルダ別に管理する
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The Universal Category System (UCS)について。
The Universal Category System(UCS)は、映像や音楽制作で使用される多くの音響データをカテゴリ別に分類し管理するシステムです。整理された音データは検索しやすく、第三者への配布も共通認識のもと行うことができます。
The Universal Category System (UCS)は現在のVersion 8.2を最終のバージョンとしています。最終的なカテゴリ分類は、トップカテゴリが82種類とそのサブカテゴリが753種類にて構成されています。
The Universal Category System(UCS)は、Tim Nielsen、Justin Drury、Kai Paquin らをはじめ、世界中の多くのサウンドライブラリアン、ベンダー、ユーザーのサポートにより設計されました。また、パブリックドメイン(公共に帰したもの)として誰でも利用することが可能です。効果音を分類するためのフレームワークと、ファイル名の明記方(構造)を統一することで、雑多になりがちなサウンドライブラリの管理を軽減することができます。
The Universal Category System (UCS)のダウンロード
下記URLの『ACCESS NOW』をクリックするとThe Universal Category System(UCS)がダウンロード可能なDropboxへアクセスします。
“The Universal Category System”
https://universalcategorysystem.com/
The Universal Category System (UCS)の使い方。
カテゴリシステムについて|THE CATEGORY LIST
The Universal Category System(UCS)のカテゴリシステムは、82種類のトップカテゴリとそれに続くサブカテゴリのトータル753種類に分類されます。
The Universal Category System(UCS)のサイトからダウンロードしたデータ中にカテゴリリストが3種類入っています。
・UCS v8.2 Full List.xlsx/すべてのカテゴリ
・UCS v8.2 Full Translations List.xlsx/すべてのカテゴリを20ヶ国語に翻訳したもの
・UCS v8.2 Top Level Categories.xlsx/トップカテゴリのみ
UCS v8.2 Full Translations List.xlsxでは20カ国に翻訳されており、日本語でも使用することができます。
ファイル名の付け方|THE FILENAME STRUCTURE
The Universal Category System (UCS)の最も重要なポイントは、ファイル名の付け方によるメタデータ管理になります。
The Universal Category System (UCS)の利用に際し、最も簡易の名付けルールは、The Universal Category System (UCS)で分類したカテゴリIDをファイル名の頭につけアンダーバーで区切りを入ます。続く文字に他に必要な内容を記載します。
CatID_Whatever Else You Want Here //最も簡易的なファイル名構造
The Universal Category System (UCS)のオフィシャルでの記述方法(ファイル構造)下記の通りになります。
CatID_FXName_CreatorID_SourceID
CatID: UCSで指定したカテゴリID
FXName: 効果音の簡単な説明
CreatorID: 録音者、サウンドデザイナーなどクリエーター名や会社名など
SourceID: どのライブラリーやプロジェクトのために制作されたものか。(サウンドライブラリー名や映像作品名など)
記載例として、活版印刷機の機械音を録音した音データのファイル名です。
MACHInd_Letterpress printing press work_BGDS_Original Heidelberg Printing Machine Sounds Library
先頭の MACHInd は、MACHINESカテゴリ内にある INDUSTRIALサブカテゴリのカテゴリIDなります。その後アンダーバーで区切られ、Letterpress printing press work(効果音の説明)、BGDS(作者名-barbe_generative_diary_SOINDSの略)、Original Heidelberg Printing Machine Sounds Library(ライブラリ名)と続きます。
オプションにより、下記のように拡張して使用にすることもできます。
CatID-(UserCategory)_(VendorCategory)FXName_CreatorID_SourceID_UserData
UserCategory: ユーザーの第3のカテゴリ(オプション)
VendorCategory: ベンダー・メーカーの第3のカテゴリ(オプション)
UserData: 追加情報、場所やマイクの種類、ユニークIDなど(オプション)
カテゴリリスト検索、ファイル制作に便利なツール|AVAILABLE TOOLS
Appファイル内にAudioCategiryClipperというプログラムアプリがあります。Macで開く場合、信頼できるAPPか聞かれることがあります。
このプログラムは、どこカテゴリに属するかを検索し、また続く文字列を記述することでファイル名を生成してくれます。
AudioCategiryClipperを開くと2種類のタブ(Category・Filename)があります。
Categoryタブでは、検索キーワード内に記述した内容がどのカテゴリかを探し出し、クリップボードにコピーしてくれます。
Filenameタブでは、必要記入欄に記入することで、実際のファイル名を生成し、コピーすることができます。カテゴリID、効果音の概要、制作者、ソースIDなどを記載しコピーボタンを押すとコピーできます。
フォルダ別に管理する
ファイルを管理するためのフォルダ群も提供しています。ダウンロードしたCategory Foldersの中に、3種類のフォルダ群がzipされています。
UCS Category Only v8.2: トップカテゴリのみのフォルダ群
UCS Category SubCategory v8.2: トップカテゴリの下層にサブカテゴリを含んだフォルダ群
UCS CategoryFull v8.2: トップカテゴリとサブカテゴリを同じフォルダに明記したフォルダ群
自身の好みのフォルダ分けを選んで利用できます。
ファイル名を明記したデータをフォルダに格納します。
フィールドレコーディング おすすめの本
フィールド・レコーディング入門 響きのなかで世界と出会う – 柳沢 英輔
初心者にも分かりやすいようにフィールドレコーディングの魅力を解説しています。「フィールド・レコーディングとは何か?」「音とは?」「聴くこととは?」など、その他にも「歴史や理論」はもちろん、「実践的な機材の紹介・録音方法や環境の作り方」なども学べます。
実際、読むだけでなく、今すぐフィールドレコーディングに行きたいと思える本。カメラを旅行に持っていくように、ハンディレコーダーを持って出かけましょう。
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► 『フィールド・レコーディング入門 響きのなかで世界と出会う』(柳沢 英輔)
初版/ 2022.4.26
ページ数/302ページ
出版社/フィルムアート社
言語/日本語
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