[Series] はじめてのTidal Cycles : Part.6

TidalCyclesのオーディオエフェクトには、音量の変更や音の位置など単純なものから、遅延や歪みなどの複雑なものなどあります。

Part.6では、その中からピックアップした数種類を利用し、エフェクトの使い方を学んでいきます。

今回、取り上げてないオーディオエフェクトについては、別記事に[保存版]として、少しづつまとめていきます。

[保存版] Tidal Cycles オーディオエフェクトまとめ (Audio effects)/随時更新

オーディオエフェクトの使い方

オーディオエフェクト(Audio effects)を使用する場合、サウンドパターンとエフェクトの間に#演算子を追加し、エフェクトコードを記述します。

また、エフェクトの数値を、“ ”二重引用符で囲むことでパターン化することができます。下記サンプルコードです。

--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
# gain "1 2"

hush

【コード解説】
エフェクトに適用しているのはギターアンプ等でよく見られる入力音量を調整するgain(ゲイン)です。sound “cpu”には、エフェクト gain “1 2”を加えています。

gainの場合、エフェクト数値は、が基準になります。数値を上げるほど音量が上がり歪みが加えられます。(上げ過ぎに注意してください。)

また、上記サンプルコードには、エフェクト数値がgain “1 2”二つあります。これは、サイクルの前半に1、後半に2という具合にパターン化し、エフェクトが適応されます。

● Time and Space/時間・空間系エフェクト

Reverb

< Parameters >
#room
#size
#dry

< Values >
0 ~ 1

< Explanation >
空間における音の反響効果が得られます。#sizeは、部屋の大きさではなく、深さを比喩的にイメージし、#roomと合わせて使用します。ホールで演奏しているような空間音を作ることができます。

--Example
d1 $ n "0 2 [3 5] 3" # sound "cpu"
# room "0.5"
# size "0.3"
# dry "0.5"

hush

Speed

< Parameters >
#speed

< Explanation >
サンプル音源の再生速度を変化させます。1が基準の音量になります。

--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
# speed "1 3"

hush

Pan

< Parameters >
#pan

< Values >
0 ~ 1

< Explanation >
左右のスピーカー音量を調整し、音を左右に移動させます。0/左 〜1/右で変化します。

--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
# pan "0 0.3 0.7 1"

hush

● Distortion/歪み系エフェクト

Gain

< Parameters >
#gain

< Explanation >
入力音量を上げる事で音に歪みを加えます。数値をあげすぎると音割れするので注意してください。1が基準の音量になります。

--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
# gain "1 2 0.7 1.5"

hush

Shape

< Parameters >
#shape

< Values >
0 ~ 1

< Explanation >
シェイプ・エフェクトです。数値を上げるほどエフェクトがかかります。

--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
#shape "0.8 0.3"

hush

Squiz

< Parameters >
#squiz

< Values >
0 ~ 1

< Explanation >
音のピッチを上げ音に歪みを加えるエフェクトです。フィルター、リングモジュレーター、ピッチシフターの組み合わせをイメージさせます。

--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
#squiz "2 4 8"

hush

● Filter/フィルター系エフェクト

Vowel

< Parameters >
#vowel

< Values >
a e i o u

< Explanation >
母音のように聞こえる面白いエフェクターです。a, e, i, o, u のようにしています。

--Example
d1 $ n "0*5" # sound "bd"
#vowel "a e i o u"

Lowpass filter

< Parameters >
#cutoff or #lpf
#resonance or #lpq

< Values >
#cutoff or #lpf はHz(ヘルツ)を指定し、#resonance or #lpqは0〜1の数値を指定します。

< Explanation >
指定した数値より低い周波数を通すフィルターエフェクトです。別名:ハイカット・フィルタと呼ばれており、指定された数値より高い周波数をカットします。passは通すという意味です。
レゾナンス、#resonance or #lpqは、0〜1の値を入れます。レゾナンスは直訳すると共振です、カットされた付近を強調します。

--Example
d1 $ n "0 2 [3 5] 3 [2 3] 3 3" # sound "cpu"
#lpf "800" #resonance "0.5"

あとがき

TidalCyclesには、この他にも様々なエフェクトが用意されています。冒頭にも記載していますが、別記事に[保存版]として、少しづつまとめていきますのでご覧ください。

[保存版] Tidal Cycles オーディオエフェクトまとめ (Audio effects)/随時更新

また、TidalCyclesサイトのリファレンス(英語)にてまとめや、ライブコーディングの本にも掲載されているのでご参考に。

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[Series] はじめてのTidal Cycles
Tidal Cyclesを始めたばかりのビギナーの方へ、また自身の復習のためにシリーズにまとめ更新していきます。コメント等ありましたら、ヘッダーメニューからInstagramまたはTwitterアカウントへメッセージください。下記メニューは随時追加されます。

Part.1 / Tidal Cyclesのサンプルを使って音を鳴らす(基礎編)
Part.2 /Tidal Cyclesの仕様、リズム構成とテンポの設定方法(CPSとBPM)
Part.3 /リズムを作る表記方法(Mini Notation)
Part.4 /オシレーター(Oscillators)
Part.5 /ユークリッドシーケンス(Euclidian Sequences)
Part.6 /オーディオエフェクト(Audio effects)
Part.7 /シンセサイザー(Synthesizers)

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