Date:2022-03-08
[Series] はじめてのTidal Cycles :Part.6 /オーディオエフェクト(Audio effects)
Tidal Cyclesでは、リズムパターンを変化させるための“オーディオエフェクト”がいくつか用意されています。それら“エフェクト”を利用し、音やリズムを加工することで、パターンにさまざまな表情を作ることができます。イメージするリズムパターンに合わせ、いろいろな効果を試し楽しんでください。

[Series] はじめてのTidal Cycles : Part.6
TidalCyclesのオーディオエフェクトには、音量の変更や音の位置など単純なものから、遅延や歪みなどの複雑なものなどあります。
Part.6では、その中からピックアップした数種類を利用し、エフェクトの使い方を学んでいきます。
今回、取り上げてないオーディオエフェクトについては、別記事に[保存版]として、少しづつまとめていきます。
[保存版] Tidal Cycles オーディオエフェクトまとめ (Audio effects)/随時更新
オーディオエフェクトの使い方
オーディオエフェクト(Audio effects)を使用する場合、サウンドパターンとエフェクトの間に#演算子を追加し、エフェクトコードを記述します。
また、エフェクトの数値を、“ ”二重引用符で囲むことでパターン化することができます。下記サンプルコードです。
--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
# gain "1 2"
hush
【コード解説】
エフェクトに適用しているのはギターアンプ等でよく見られる入力音量を調整するgain(ゲイン)です。sound “cpu”には、エフェクト gain “1 2”を加えています。
gainの場合、エフェクト数値は、1が基準になります。数値を上げるほど音量が上がり歪みが加えられます。(上げ過ぎに注意してください。)
また、上記サンプルコードには、エフェクト数値がgain “1 2”と二つあります。これは、サイクルの前半に1、後半に2という具合にパターン化し、エフェクトが適応されます。

● Time and Space/時間・空間系エフェクト
Reverb
< Parameters >
#room
#size
#dry
< Values >
0 ~ 1
< Explanation >
空間における音の反響効果が得られます。#sizeは、部屋の大きさではなく、深さを比喩的にイメージし、#roomと合わせて使用します。ホールで演奏しているような空間音を作ることができます。
--Example
d1 $ n "0 2 [3 5] 3" # sound "cpu"
# room "0.5"
# size "0.3"
# dry "0.5"
hush
Speed
< Parameters >
#speed
< Explanation >
サンプル音源の再生速度を変化させます。1が基準の音量になります。
--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
# speed "1 3"
hush
Pan
< Parameters >
#pan
< Values >
0 ~ 1
< Explanation >
左右のスピーカー音量を調整し、音を左右に移動させます。0/左 〜1/右で変化します。
--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
# pan "0 0.3 0.7 1"
hush
● Distortion/歪み系エフェクト
Gain
< Parameters >
#gain
< Explanation >
入力音量を上げる事で音に歪みを加えます。数値をあげすぎると音割れするので注意してください。1が基準の音量になります。
--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
# gain "1 2 0.7 1.5"
hush
Shape
< Parameters >
#shape
< Values >
0 ~ 1
< Explanation >
シェイプ・エフェクトです。数値を上げるほどエフェクトがかかります。
--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
#shape "0.8 0.3"
hush
Squiz
< Parameters >
#squiz
< Values >
0 ~ 1
< Explanation >
音のピッチを上げ音に歪みを加えるエフェクトです。フィルター、リングモジュレーター、ピッチシフターの組み合わせをイメージさせます。
--Example
d1 $ n "0 3 0 3" # sound "cpu"
#squiz "2 4 8"
hush
● Filter/フィルター系エフェクト
Vowel
< Parameters >
#vowel
< Values >
a e i o u
< Explanation >
母音のように聞こえる面白いエフェクターです。a, e, i, o, u のようにしています。
--Example
d1 $ n "0*5" # sound "bd"
#vowel "a e i o u"
Lowpass filter
< Parameters >
#cutoff or #lpf
#resonance or #lpq
< Values >
#cutoff or #lpf はHz(ヘルツ)を指定し、#resonance or #lpqは0〜1の数値を指定します。
< Explanation >
指定した数値より低い周波数を通すフィルターエフェクトです。別名:ハイカット・フィルタと呼ばれており、指定された数値より高い周波数をカットします。passは通すという意味です。
レゾナンス、#resonance or #lpqは、0〜1の値を入れます。レゾナンスは直訳すると共振です、カットされた付近を強調します。
--Example
d1 $ n "0 2 [3 5] 3 [2 3] 3 3" # sound "cpu"
#lpf "800" #resonance "0.5"
あとがき
TidalCyclesには、この他にも様々なエフェクトが用意されています。冒頭にも記載していますが、別記事に[保存版]として、少しづつまとめていきますのでご覧ください。
[保存版] Tidal Cycles オーディオエフェクトまとめ (Audio effects)/随時更新
また、TidalCyclesサイトのリファレンス(英語)にてまとめや、ライブコーディングの本にも掲載されているのでご参考に。
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[Series] はじめてのTidal Cycles
Tidal Cyclesを始めたばかりのビギナーの方へ、また自身の復習のためにシリーズにまとめ更新していきます。コメント等ありましたら、ヘッダーメニューからInstagramまたはTwitterアカウントへメッセージください。下記メニューは随時追加されます。
Part.1 / Tidal Cyclesのサンプルを使って音を鳴らす(基礎編)
Part.2 /Tidal Cyclesの仕様、リズム構成とテンポの設定方法(CPSとBPM)
Part.3 /リズムを作る表記方法(Mini Notation)
Part.4 /オシレーター(Oscillators)
Part.5 /ユークリッドシーケンス(Euclidian Sequences)
Part.6 /オーディオエフェクト(Audio effects)
Part.7 /シンセサイザー(Synthesizers)
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barbe_generative_library
TidalCycles 参考書籍
[Book] 演奏するプログラミング、ライブコーディングの思想と実践

初版/ 2018.12.21
ページ数/176ページ
出版社/ビー・エヌ・エヌ新社
言語/日本語
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“Books”では、“barbe_generative_Library”として、
barbe_generative_diary の創作において実際に購入し、読んだ本を紹介します。
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